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内側から見た「半導体村」 今まで書けなかった業界秘話
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内側から見た「半導体村」 今まで書けなかった業界秘話

湯之上隆

Gbiz電書

現代ビジネス
月額880 円 (税抜 800 円)
発行周期: 月2回 隔週木曜日

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著者メッセージ

 いま世界では、半導体が単なる工業製品ではなく、国家の安全保障と経済力を規定する戦略資源として扱われている。AI、軍事、エネルギー、金融、通信──あらゆる領域の基盤を支えるのが先端半導体であり、各国はその製造能力を国内に確保するために、これまでにない規模の資金と制度を投入している。これは一時的なブームではなく、明確な潮流である。

 こうした中、日本は長らく失われていた半導体製造基盤を再構築しようとしている。TSMCの熊本誘致、Rapidusによる2nmロジック量産への挑戦は、その象徴だ。しかし、これらは“やればできる”類の話ではない。半導体は、技術、人材、装置、材料、サプライチェーン、顧客基盤、地政学──あらゆる要素が高度に統合された産業であり、根拠のない楽観は、必ず失敗を招く。

 過去の日本は、この産業の構造と変化の速度を読み違え、正しい政策判断を持続できなかった。結果として、世界の最前線から脱落した。この歴史を直視しなければ、同じ過ちを繰り返すだけである。TSMC熊本もRapidusも、成功する可能性は決してゼロではない。しかし、それを実現するには、これまでと比較にならないほど徹底した現実認識と、継続的な実行力が必要になる。それが欠ければ、国策はまた失敗する。

 私は、半導体産業を内部から見続けてきた経験をもとに、事実だけを、冷静に、正確に、タイムリーに伝えることを自らの責務と考えている。表面だけを追っていては、本質には到達できない。企業戦略も国策も、成功と失敗を分けるのは、華やかな発表ではなく、現場が積み上げる現実である。この現実を理解することなしに、未来の議論を行うことはできない。

 本メルマガでは、読者の判断に資するために、半導体産業の構造変化、各国の戦略、技術の進化、サプライチェーンの実相を、淡々と、しかし徹底的に分析していく。AI時代における産業競争は、もはや後追いでは成立しない。正しい情報と正しい認識だけが、未来の選択を可能にする。私はその一助となるべく、これからも筆を執っていく。

 バックナンバーには、「なぜ私はエルピーダを1年で去ったのか?」、「なぜ日本半導体の復権を目的としたセリートに 失望したのか?」、「大学で半導体産業を研究しているときに本当は何があったのか?」、「大学を辞してベンチャーを立 ち上げようとしたとき何が起きたのか?」―などを湯之上隆の物語として収録している。筆者自身の個人的なエピソードをさらけ出すことで、“日本の半導体村”の実像に迫っていただくのが狙いだ。

 半導体や電機産業に携わるビジネスを理解するための一助として、また技術開発の方向性を見出すための手助けとし て、本メルマガをご活用頂ければ、著者としてこれに優る喜びはない。