イズメディア・モール
information 2025年3月31日、会員機能がリニューアルされました。それ以前のお客様は、ログイン時に「パスワードをお忘れの方はこちら」にお進みください。
トップ / 佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」
申込受付中 月2回配信(号外有)

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」

佐藤優

Gbiz電書

現代ビジネス
月額1,100 円 (税抜 1,000 円)
発行周期: 第2と第4の水曜日

動画コンテンツを含む商品の場合は、「動画コンテンツ動作保証環境」ページをあらかじめご確認のうえお申し込みください。

 国際社会のゲームのルールが帝国主義傾向を強めている。もっとも21世紀の新・帝国主義は、19世紀から20世紀前半の古典的な帝国主義国のように植民地獲得を求めることもなければ、主要国間の全面戦争も起きない。しかし、自国の生き残りのために外部から搾取と収奪を強めるという帝国主義の本質は、21世紀の新帝国主義においても同じである。尖閣諸島問題をめぐる中国の攻勢や米国の対応、ギリシア危機に対するEU(欧州連合)の対処も、新・帝国主義という補助線を引けば、よく見えるようになる。

 帝国主義的傾向が強まると、経済に与える政治の影響が決定的に重要になる。また、民族や宗教など、日本人があまり得意としない要因が、これまでにも増して政治と経済にとって大きな制約要因となる。これらの制約要因が、可視化が難しいカントリーリスクをつくりだしている。こういう事情の変化を反映してか、最近、経済関係者からロシア、中央アジア、中東、さらに沖縄と中国の関係などについて、筆者に話を聞きたいとか、講演してほしいという依頼が増えている。時間的な制約があるために、その依頼のほとんどを断っているというのが実態だ。

 筆者は、現在、月平均1200枚程度の原稿を書いている(8月は59本、9月は55本、10月は62本の新聞・雑誌原稿を書いた)。このメルマガでは、他の原稿と異なる切り口で発信したい。インテリジェンスの世界には、「分析メモ」と呼ばれるレポートがある。調書ほど長くはない。A4判の用紙に1~2枚にワンテーマの情勢分析を記す。情報源は、盗み出してきた機微に触れる内部情報もあれば、新聞・雑誌、政府の公式発表のような公開情報のこともある。公開情報であっても、熟練したインテリジェンス専門家が解説を加えれば、そこから隠れた真実を読み解くことができる。外務省で主任分析官をつとめていた頃に、筆者もそのような「分析メモ」を作成し、その内、週2~3通は首相官邸に届けていた。現在も筆者のところには、ロシアやイスラエルなどから機微にふれる情報が入ってくる。これらの情報を、ビジネスに関心を持つ人を念頭において「分析メモ」で読者にお届けしたい。

 このメルマガでは、「読書ノート」もお届けしたい。軍事情報を除けば、インテリジェンス機関が扱う秘密情報の95~98パーセントは公開情報の中にあると言われている。筆者の経験でもその通りだ。あふれ出る公開情報の中から、真に必要な情報を探り当てる(ロシア語でインテリジェンスを「ラズベトカ(разведка)」というが、これは「探り当てる」という意味でもある)ためには、読書が基本になる。そのノウハウについても読者にお伝えしたい。

佐藤優(作家・元外務省主任分析官)