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内側から見た「半導体村」 今まで書けなかった業界秘話

湯之上隆

JBデジタル選書

JBpress
 
864 
(税抜 800 )
第1と第3の木曜日

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毎月の動画配信は、原則として第4週目号配信後を予定しておりますが、著者のやむを得ない事情のため配信スケジュールが前後することがございます。

著者メッセージ

2015年は新聞や経済誌の見出しに「IoT」の文字を見ない日は無いほどの一大ブームが到来し、中国の紫光集団の爆買いに象徴されるように、世界半導体業界にはM&A旋風が吹き荒れた。2016年に入ると、バズワードは「AI(人工知能)」に入れ替わり、中国XMCが突如、3次元NANDへの参入を発表。元エルピーダメモリ社長の坂本幸雄氏が中国でのDRAM開発・生産を目指すサイノキングテクノロジー社を設立、ソフトバンクの孫正義社長が世界制覇に向けて英ARMを買収した。

半導体とエレクとロニクス業界は、大変革の時期を迎えようとしている。本メルマガでは、ホットなニュースをタイムリーに取り上げ、その裏にある背景要因をつぶさに読み解く。また、半導体や電機産業の水面下で進行しつつある技術や業界動向を、どこよりも早く読者に提供する。

バックナンバーには、「なぜ私はエルピーダを1年で去ったのか?」「なぜ日本半導体の復権を目的としたセリートに失望したのか?」「大学で半導体産業を研究しているときに本当は何があったのか?」「大学を辞してベンチャーを立ち上げようとしたとき何が起きたのか?」―などを湯之上隆の物語として収録している。私自身の個人的なエピソードをさらけ出すことで、“日本の半導体村”の実像に迫っていただくのが狙いだ。

半導体や電機産業に携わるビジネスを理解するための一助として、また技術開発の方向性を見出すための手助けとして、本メルマガをご活用頂ければ、著者としてこれに優る喜びはない。さらには、湯之上隆を主人公としたエンターテインメントとして、お楽しみいただければ幸いである。

Vo.135.(17/08/10)講演とその報酬に関する私見

講演回数の推移とその課題 /学術講演会の基調講演や招待講演および大学の講義 / 企業での講演 / 証券会社も油断ならない / セミナー会社が企画する講演 / サイエンス&テクノロジー / 時給1363円の講演 / 担当者からの電話で講演料が2倍に /講演の結果と報酬 / ニコンは壊れているか? / 講演の連鎖反応 / さらに混迷を深める東芝メモリの売却

Vol.134(17/07/20)論文統計から分かる半導体の技術動向

あらゆるカテゴリーのビジネスが提案型に変化 / ピークアウトしたスクリーンの洗浄装置のシェア / 半導体メーカーと装置メーカーの関係の変遷 / 提案型の装置ビジネスとは / スクリーンはどうすべきか / スクリーンの幹部は激怒したらしい / 負けを認めない限り復活はない / 半導体の技術動向をどうやったらキャッチできるか / フロントエンド技術の動向 / バックエンド技術の動向 / コンサルタントの仕事とは

Vol.133(17/07/06)訴訟合戦になった東芝と米ウエスタンデジタル

決断できない烏合の衆 / 東芝メモリとSKハイニックスとの3次元NANDは構造が違う/ WDがより神経をとがらせる / 東芝とWDのケンカ / 東芝とWDの対立は修復不能 / 産業革新機構による東芝メモリの買収は合法か / 機構の志賀会長も世耕経産相も否定していたのに / とある法律事務所の見解

Vol.132(17/06/22)2017年VLSIシンポジウムに記者として参加

Si Nano electronicsワークショップ / 発表内容についての分析 / サムスン電子によるEUVを用いた7nmのFinFET / 立ち見が出るほどの盛況ぶり / EUVによる7nmFinFETの発表内容 / サムスン電子の7nmFinFETの実力は? / EUVの量産適用における問題 / 突如必要となったペリクル / EUVの熱でペリクルが溶ける問題 / TSMCによるウエハレベルパッケージの進化版CoWoS / TSMCのCoWoSの発表 / TSMCのCoWoS2に搭載されていたプロセッサとは?

Vol.131(17/06/01)NANDフラッシュメモリの競合他社の動き

東芝とウエスタンデジタルは協議継続で合意 / 第1ラウンドの経緯 / 競合他社の動き / SKハイニックス / サムスン電子は誰が意思決定しているのか? / 突然CEOが交代したスマートな米マイクロン / マイクロンの魂胆とは / 中国紫光集団の動向 / 中国が半導体技術者を青田買い / 凄まじいヘッドハンティング / サイノキングの計画から分かること

Vol.130(17/05/20)東芝と米ウエスタンデジタル(WD)が国際裁判沙汰に

東芝のNAND事業売却を巡るWDの動き / 主役から脇役へ転落したWD / WDの権謀術数 / なぜ東芝は反論の書簡を送ったのか / 分かれる両者の主張 / 今後どうなるの? / 気になるマイクロンの動き

Vol.129(17/05/04)BSフジLiveプライムニュース 出演騒動記

4月10日最初の電話での打診 / 4月18日-19日 2回目の打診 / 4月21日Tプロデューサーからのメール / 4月21日Hディレクターとの打ち合わせ / 4月24日Tプロデューサーからのメール / 4月24日夜 Tプロデューサーとの電話 / 4月25日 謝罪メール攻勢 / 4月25日Hディレクターとの電話 / 4月25日夜 反町キャスターとの電話 /4月26日 反町キャスターからの電話 / 4月26日 Hディレクターからのメール / 4月26日 反町キャスターへの電話 / 4月26日18時頃 フジテレビ到着 / 4月26日 反町キャスターとご対面 / 4月26日(水)19時頃: 国会議員たちの登場 / 4月26日(水)19:20頃: 最後の打ち合わせ / 約束を守った反町キャスター / メモリはマグロ /

Vol.128(17/04/20)東芝メモリ買収、裏で誰かが糸をひいている

東芝メモリ買収1次入札の結果 / 経産省の暗躍と日本連合の結成 / 「東芝に特許侵害の疑い」は不自然 / ターニングポイントは3月17日 / 誰が何を画策したのか / WDは最悪の売却先か?

Vol.127(17/04/06)東芝メモリその後&元エルピーダ坂本氏の虚言?

東芝メモリ買収にグーグル、アマゾンも参戦/ 東芝のNAND成長率が低いのは設備投資が低調だから/グーグルやアマゾンに買収されるのは東芝にとって「非常に良い」/東芝メモリの弱点が一気に解決できる?/謎に包まれたブロードコムの参入/ 元エルピーダ社長の坂本氏のインタビュー記事に爆笑/坂本さん、それは私が指摘したことですよ

Vol.126(17/03/23)東芝メモリはなぜ2兆円?/革新機構は引っこんでろ!

東芝メモリ2兆円は安すぎる?/期待値の低さの表れか?/どうせ売るならもっと踏んだくれ!/東芝メモリに関するついて、いつ、誰が、何を言ったか/革新機構の志賀会長の言行不一致/最初は東芝メモリに無関心だったのに…/政投銀や革新機構は手を出すな/メモリビジネスは一種のバクチ

Vol.125(17/03/09)東芝の半導体技術者に対する違和感

TSMCに「東芝メモリ」を経営する余力があるか?/東芝メモリ2兆円は安すぎ? 分社化の対象に入らない「半導体研究開発センター」/分社化組は安泰、東芝残留は?/ もしかしたら「ゆでガエル」?/プライドが邪魔をする?

Vol.124(17/02/23) EUVの展望とギガフォトンの元会長からの依頼

ギガフォトンの元会長と顧問から呼び出し/ギガフォトンのブレークスルー/光源出力が上がったEUVの次なる問題とは/EUVの原理と新たな課題-デブリス-/EUVの熱でペリクルが溶ける!/“生みの苦しみ”を味わったギガフォトン

Vol.123(17/02/09) あの東芝で講演してきた!/中国の半導体産業動向

東芝で講演、技術者の心を掴んだ/米EE Timesの吉田記者との情報交換/ XMCの3次元NANDの試作状況/ XMCの3次元NAND新工場の建設状況/ 頓挫したサイノキングのDRAM/ 紫光集団が700億ドル超を半導体に投資/ トランプ大統領の政策は予測不能

Vol.122(17/01/26) 米中半導体戦争勃発か?

ババをつかまされた東芝/ NAND事業を分社化/ もっとも東芝のNANDが欲しいのは中国/ 世界半導体を爆買いする中国/ オバマ・レポートの公表/ 中国のM&Aは米国によって阻止される

Vol.121(17/01/02) 東芝解体論/半導体メーカーと装置メーカーの関係

東芝の原子力事業を巡るゴタゴタ/デューデリは機能していたのか?/東芝四日市工場がはじめて「紙の注文書」を出した/半導体メーカーと装置メーカーの関係が10年ごとに変化していた!/スクリーンがシェアを奪還するための方策とは?/読者の手紙から、TSMCのFab13にPhase3はあった!

Vol.120(16/12/22)TSMCの時代がやってきた

微細化をけん引するTSMC/最先端工場に1.7兆円を投資/「ギガファブ」の発信源はTSMC/インテル、サムスン電子、TSMCがファンドリーで激突するが…/5nmからEUVを実戦投入/ 3nmの半導体が動作するのか?

Vol.119(16/12/08)スクリーンの苦境とその原因

スクリーンのシェアピークアウト問題」が頭から離れない/ 2014-15年の洗浄装置市場の企業別シェア/洗浄装置のパラダイムシフト/なぜ枚葉式がバッチ式を凌駕したのか/技術力では負けていないのに…/なぜ価格支配権を持てないのか/バッチ式にも活路あり!?

Vol.118(16/11/24)帝王ニコンはなぜ壊滅したのか

「スループット」への関心の発端は2006年に遡る/ニコンやキヤノンの装置には”顔”がある/ASMLの露光装置のつくり方/なぜASMLは機差を小さくできるのか?/“レンズ屋”から抜け出せなかったニコン/最後の砦、インテルにも見放された/傲慢症候群に陥っていなかったか

Vol.117(16/11/10)人口知能と半導体プロセス

IoTは未来を予測する /どうやってIoTで稼ぐか? / 2016年はAIがブーム /
AIと囲碁棋士の対決は「人間と人間」の戦いだった /半導体製造にもAIが侵入してくる / AIに適応する者が生き残る /スイスの時計産業の凋落の原因 /専門家や権威者を疑え / 半導体の新技術に対する専門家の反応

Vol.116(16/10/23)爆発する3次元NAND市場

ヒートアップする3次元NANDへの投資 / IoTの普及とビッグデータの急拡大 / 2020年に解析可能なデータ量は15ZBへ/オールフラッシュの時代/ 2020年に世界に必要なNANDの生産キャパシティは?/ NANDメーカー間で装置の奪い合いに

Vol.115(16/10/13)LamによりKLA買収は団の真相

勢いづくラム・リサーチ/ AMATのCEOの横槍?/ルネサスによるインターシル買収はやっぱりうまくいかない?/売上高への貢献は微々たるもの/インターシルは本当に優良なグローバル企業なのか?/軍事用ICから出発したインターシル/シナジー効果は生まれるのか?

Vol.114(16/09/22)インテルがARMの軍門に下り、孫社長は高笑い?

トップ3がファンドリーで激突/トップ3の半導体売上高比較/リーマン・ショック後のトップ3/インテルが1位の座を失う日/なぜインテルはTSMCに敵わなかったのか/TSMCによるSOCのプラットフォームの威力/インテルのファンドリー立て直し策/惨敗したスマホ用プロセッサにも光明

Vol.113(16/09/08)なぜ東芝の設備投資効率が高いのか?

東芝の問題点は売上高が成長していないこと/長所は抜群な設備投資効率/欧米のIDMの分析/東芝、インテル、サムスン電子、TSMCの比較/半導体分野別の設備投資効率/東芝の設備投資効率が高い理由/設備投資効率と営業利益率の間に相関関係なし

Vol.112(16/08/25)日本の洗浄装置メーカーは大丈夫か?

裏のムーアの法則と洗浄技術/装置市場における洗浄装置のポジション/液体材料を使う装置は日本が強い/スクリーンのシェアがピークアウト/SEMES躍進の背景/スクリーンとSEMESの売上高推移/洗浄装置市場の展望/東芝の3次元NAND計画は絵に描いた餅だ/東芝の歩留りは10%/製造装置を入手できるのか

Vol.111(16/08/12)不思議なワインの話と半導体ウエットプロセス

楕円形のワイングラスの魔法/ワインのプロも本当のワインの味を知らない/
楕円にするとなぜ劇的に味が変わるのか?/硬水ミネラルウォーターもまろやか!/醤油の注ぎ方で味が変わる?/ブラックコーヒーがマイルドになった!/  半導体ウエットプロセスについての考察

Vol.110(16/07/21)ALE 第2のブーム到来

半導体のドライエッチング業界では、原子層を一層ずつエッチングするALEに第2のブームが訪れている。現時点では、ALEは半導体の量産技術として使われてはないが、一旦ALEがフィットするアプリケーションが見いだされれば、爆発的に普及することが予測できる。7月に東大本郷キャンパスで開催されたALEのワークショップでは、企業の論文発表に東大教授が難癖をつける場面があった。産業界にとってはアカデミックな厳密さよりも、実際の半導体プロセス技術として使えるものにすることが重要。産学連携の機運をぶち壊しにするような議論は興醒めだ。

Vol.109(16/07/07)露光業界の帝王と呼ばれたニコンは…

東芝が3次元NANDフラッシュメモリの露光にナノインプリントを使うという。かつて、東芝はナノインプリント否定派だったが、「サムスン電子にコストで対抗するにはこれしかない」と宗旨替え。
また、3次元NANDでは設計ルールが緩くなるため、2世代前の露光装置KrFの需要が増大。そのシェアを取っているのは、ASMLとキヤノンで、ニコンは大苦戦。ニコンはリソ全体の売上高シェアでキヤノンにも抜かれ最下位に転落。かつては露光業界の帝王と言われたのに…寂しい限りだ。

Vol.108(16/06/23)恐るべし中国XMC

中国XMCが2018年に3次元NANDの量産開始を目指しているらしいが、「2次元NANDすらまともにつくれないXMCに3次元は無理」と高を括っていた。しかし、XMCはサムスンの西安工場から千人規模の中国人オペレーターを採用。サムスンやSKハイニックスのNAND技術者をヘッドハンティングし、装置・材料メーカーからもライバル社の情報を貪欲に収集している。日本の半導体関係者にとってはデジャ・ヴュだ!1990年代に、日本がサムスンにやられたことを、今度は、サムスンがXMCから仕掛けられているのだ!

Vol.107(16/06/09)東芝の3次元NAND事情

なぜ、東芝は3次元NANDをもっと量産しないのか?どうも、東芝は「48層の3次元NANDは儲からない」と考えているようだ。3次元NANDでは、縦方向に何層積めるかによって、データのストレージ容量が決まるが、積むほどに技術的難度が上がり、生産性は下がる。東芝は48層の次(64層?)が本命と考えているようで、収益性の低い48層では「アクセルは踏まない」つもりなのか。しかし、層数が増える程、製造が難しくなることを考えれば、16→32→48→…とステップを踏んで、ノウハウを蓄積しておくべきではないか。

Vol.106(16/05/26)AIが半導体を製造する世界

AIが半導体のプロセスフローを自動構築し、半導体を自動製造し、生産性や歩留り向上も自動調整するようになったら何が起きるだろうか?「どうつくるか」は差別要因でなくなり、「いつ、どこの、誰のために、何をつくるか」だけが競争力の源泉となる。投資能力のないプロセッサ、メモリ、ファウンドリーメーカーは壊滅する。AIには接待は効かないので、装置や材料の選定は極めて合理的になるだろう。凋落著しい日本が生きる道は、「半導体のプロセスフローを自動で開発し、半導体を自動で製造する深層学習AI」の開発かも。

Vol.105(16/05/12)NHKとバトル!

NHKラジオ第1の「マイあさラジオ」(5時から放送)で、毎月1回、10分ほど電機や半導体産業に関ついて話すことになった。出演の打診を受けたのは1月、そこから最初の収録まで5カ月もかかったのは、NHKから送られてきたとんでもない「覚書」が原因だ。例えば(報酬)については、出演料も交通費も「内規に基づき支払う」としか書かれていない。サインした後に「内規では報酬は1回10円」と言われたらどうしろというのだ。バトルの末、金額の明示を求め、出演の翌月末までの銀行振り込みを確約させたが、ディレクター氏によれば、「覚書」にはみんな素直にサインするらしい。信じがたい!

Vol.104(16/04/21)ルネサスを私物化するな!

ルネサスCEOに呉文精氏が就任することが決まった。同氏は興銀、GEキャピタルを経て、日産系部品会社の社長を務めた。2013年、日産常務就任発表後に日本電産COOにヘッドハントされたが、わずか2年で職を解かれたことから、日本電産の永守重信会長兼社長との確執が噂されていた。
永守氏は「ボッシュのような巨大な部品メーカーを目指す」と公言、ルネサス買収に動いたガ、「日本電産の力が強くなりすぎたら、マイコンが安く買えなくなる」と自動車業界が結束して買収阻止した。その上、永守氏と確執のある呉氏を、わざとらしくCEOに据えるとは!念の入ったことで!

Vol.103(16/04/07)インテルのアンディ・グローブが死去

 私にとってのカリスマの一人たったインテルのアンディ・グローブが死去した。享年79歳。インテルをDRAMからプロセッサメーカーに転換し、世界半導体売上高1位の企業に育て上げた。1位の座は1992年から現在まで続いている。
サムスン電子会長の李健熙(イ・ゴンヒ)は、2014年5月10日に急性心筋梗塞で意識不明となり、いまだ復帰の目途が立っていない。TSMCのCEOの張忠謀(モリス・チャン)は健在だが、85歳の年齢を考えれば、いつまで現役でいられるかはわからない。世界半導体業界は一つの転換点を迎えたのかもしれない。

Vol.102(16/03/24)東芝再生に必要なことは…

粉飾会計で苦境に陥った東芝が、3月18日、経営再建に向けた事業計画を発表した。無理やり数字を作った観のある原子力事業、手広くやっても利益が見通せない社会インフラ事業では東芝の再生は心もとない。危機を脱し、飛躍的な成長を遂げるには、結局、NANDに期待をかけるしかない。それも、サムスン電子に後れを取ってしまった3次元のNANDのBiCSに。しかし、世界レベルシェア争いに伍していくためには、今の規模では全然、足りない。そのためには………

Vol.101(16/03/10)元エルピーダの坂本氏、起死回生なるか?

エルピーダメモリのCEOだった坂本幸雄氏が、DRAM設計開発会社「サイノキングテクノロジー」を設立した。日本と台湾の技術者10人で会社を立ち上げ、今後は日台と中国を中心に1000人規模の技術者集団を形成するという。社名の由来は『サイノ=中国の、キング=王、つまり「中国で圧倒的に優れたDRAMを作っていきたい」というコンセプトのもとに生まれた会社』で、DRAMで敗北を喫した坂本氏が、日本と台湾の技術を基に、中国の資本を利用して、DRAM事業に再挑戦するということだが、果たして、その成否は…

Vol.100(16/02/26) 看護師は残れど、医師は消え去る?

ノロ・ウイルスに感染して救急病院に担ぎ込まれた。看護師は、数時間おきに病室に来て、検温や点滴などの処置をし、患者の状態を医師に報告しているようだが、医師は全く、病室に現れない。遠隔で看護師に指示を出すだけなら、AIで十分ではないか?かたや、看護師の仕事はロボットが全てを代行できるとは思えない。何より、「だいぶ良くなりましたね。もう少しだから頑張って」という言葉は患者の力になる。ペッパー君に言われても、患者の心に響くとは思えない。AIが普及すると、医師はいらなくなるかもしれないが、看護師は残る…と感じた入院生活だった。

Vol.99(16/02/19)シャープにIGUZOは製造できない?

シャープは、液晶技術で長らく半導体エネルギー研究所と共同開発を行ってきた。IGZOを用いた液晶パネルの製造技術に関しては、シャープが保有している単独特許は少なく、ほとんどが共同出願であると考えられる。つまり、半導体エネルギー研究所がライセンスを拒めば、シャープはIGZOを製造できない。半導体エネルギー研究所の山崎舜平社長は、日本の技術の海外流出を極度に嫌い、警戒している。果たして、シャープが鴻海に買収された場合、山崎社長は特許を使わせるだろうか。 

Vol.98(16/01/29)東芝の半導体にも「チャレンジ」はあった!?

渦中の東芝の若手半導体技術者2人から、直接、話を聞く機会があった。2015年夏から試作が始まった3D-NAND「BiCS」の量産立ち上げが佳境に入っていることもあり、意外なほど元気だった。ただ、気になる話もあった。「チャレンジ」と称して過大な数値目標を設定し、上司に逆らえないカルチャーはNANDの開発現場にも存在していたそうだ。例えば、コスト削減のノルマが設定され、数値目標が期中に達成できそうもない場合は、「来期の分を前倒しして今期に取り入れてでも、目標を達成せよ」と上司に迫られそうなのだ。

Vol.97(15/01/14)東芝生き残りには外部からのトップ起用を!

窮地に陥った企業が見事にV字回復を遂げた例を見てみると… 東芝がNANDで生き残っていくためには、外部からのトップ招聘が欠かせない要素だ。IBMがナビスコの会長を招聘したように、日本航空の再生に京セラ会長が抜擢されたように、優れた経営者ならば、半導体業界の出身である必要はない。日産自動車のカルロス・ゴーン氏のように日本人である必要もないのだ。そして、新しい経営者には、残った社員の士気を落とさぬよう、給料を上げてもらいたい。「そんなことは無理だろう」と思うかもしれないが、ゴーン氏の改革を見ればそれが不可能ではないことがわかる。

Vol.96(15/12/28)2015年を振り返れば、凄まじきM&A

2015年の半導体業界のM&Aは凄まじかった。10月半ばの段階でM&Aの総額は1302億ドル超となり、2010~2014年までの5年間の平均値125.2億ドルの10倍超だ。しかも、買収額が1兆円を超える大型案件が頻発。エルピーダやルネサスは、市況の悪化で巨額投資に耐えきれず、分社化して手近な相手と組む「弱者連合」だったが、今年、相次いだ大型のM&Aは、IoTの普及による新たなビジネスチャンスをにらみ、独占的なシェアを確保し、強者の地位を確立するためのものだ。

Vol.95(15/12/17)ソニーはエレクトロニクス企業ではない!

ソニーの業績が相変わらず振るわない。セグメント別の売上高は、液晶テレビ、デジカメ、半導体などのエレクトロニクス分野が全体の60%以上を占める。エレクトロニクスを捨てて再生を目指すパナソニックとは違い、ソニーは依然としてエレクトロニクスに固執しているのだと思い込んでいた。しかし、『会計士は見た!』(前川修満著、文藝春秋)を読んで、それが誤解だったと気付いた。ソニーは最早エレクトロニクスの企業とは言えないのである。

Vol.94(15/11/26)なぜサンディスクは身売りに出たのか

HDD大手のウエスタンデジタルがサンディスク買収を決めた。2014年のNANDフラッシュメモリのシェアは、サムスン電子(30.8%)、東芝(20.5%)、サンディスク(19.7%)。東芝&サンディスク連合なら、サムスンを上回る。サンディスクは、高シェア、好業績、さらなる市場拡大期待の3拍子が揃っているのに、なぜ、身売りするのか?粉飾で地に落ちた東芝に愛想をつかしたのか…と憶測をしていたのだが、その理由が最近やっと分かってきた。

Vol.64(14/08/21) 半導体屋向きの放射線検出器

 東日本大震災後、私は子どもでも扱いやすい軽くて小さな放射線検出器の開発を構想していた。いわゆる「ガイガーカンター」は小型化が難しい。「シンチレーションカウンター」感度が高く、小型化も可能だが、低価格化は難しい。ゲルマニウムやシリコンを使う「半導体検出器」も価格が10万円と高価だ。そんな時、「DIS方式」を勧められた。DIS方式の構造はNANDフラッシュメモリに酷似していて、半導体屋が開発するにはもってこいの検出器だった。

Vol.63(14/08/07) 日本が半導体生産能力1位?

 7月30日付の日経産業新聞に掲載されていたSEMIの半導体生産能力予測で、2014年の世界一は日本!しかし、どうにも腑に落ちない。SEMIジャパン代表の「IoT時代に日本の半導体工場が活躍できる可能性が高い」「日本の“枯れた技術”の設備が活用できる」とのコメントが紹介されていたが、そんな無邪気な理屈が通用するのか?選択と集中ができず、次々と半導体工場を外資系企業に売却している日本メーカーが、そう簡単にIotで花開くとは思えない。

Vol.62(14/07/24) サムスンもイノベーションのジレンマに陥ったか?

 サムスン電子の業績に急ブレーキがかかっている。台湾のファブレスメーカー・メディアテックが仕掛ける低価格スマホが中国などを中心に爆発的ヒットとなっており、サムソンの営業利益の7割を占めるスマホ関連事業を直撃した格好だ。かつて韓国の安く大量に作る技術に駆逐された日本のDRAMと同様に、サムスンのGalaxyも高性能故に駆逐されるイノベーションのジレンマに陥ったのではないか。

Vol.61(14/07/10) 微細化を阻むRC信号遅延よりも深刻な問題

 最先端の半導体の微細化はダブルパターニングを2回繰り返すクアドロポールパターニングにより、16nmの量産が始まっている。半導体の微細化はまだまだ続き、いずれ5nmまで行けそうな気配。しかし、微細化が進むと問題になるのがRC信号遅延だが、寄生容量(C)はある一定値以下にできないし、銅よりも抵抗(R)が低い材料が見当たらず、解決策が見つからない。ところが、今、RC遅延よりもさらに深刻な別の信号遅延が問題となってきているのだ。

Vol.60(14/06/26) 技術が飽和するレイトマジョリティ期を狙う

 格安スマホ用のプロセッサで大躍進中のメディアテックは、主戦場の中国では米クアルコムを抜いてシェアトップに立った。 メディアテックの元社員から聞いた同社の戦略は非常にユニークだ。リスクを冒さず、開発費を抑えるためにわざと市場の遅れて参入する。「新しいもの好き」な人たちにウケることは最初から狙わず、技術が飽和し開発費が抑制できるレイトマジョリティ期に市場参入するという。

Vol.59(14/06/12) 微細化が止まってもほとんどの人に影響はない

 微細化はいつまで続くのか? ―半導体業界の永遠のテーマでありながら、正確に答えるのが難しい質問だが、スローダウンしながらも、より細かなステップを刻みながら、微細化は人類が滅亡するまで続くのかもしれない。ただ、どんなに微細化が進んでも、旧世代の半導体は延々と製造され続けていくわけで、仮に、微細化が止まったところで地球上70億人のほとんどの人には影響は出ないのだ。

Vol.39(13/08/20) 白色LEDの未来には血みどろの価格競争が…

 長寿命電球として一般家庭に普及しつつある白色LED電球には、青色LEDが使われている。つまり私たちは、間接的に、日亜化学との特許訴訟で一躍有名になった中村修二氏の発明の恩恵に預かっているわけだ。メルマガ読者のSさんに解説してもらったところ、白色LEDの発光効率の進歩は2020年頃に限界を迎えるらしい。その先に待っているのは、血みどろの価格競争。韓国勢の厳しい追い上げに、日本企業の勝ち目は無いのか?

Vol.38(13/07/25) 日本の生きる道は化学にあり?

「日本企業は何で食っていくのか」(伊丹敬之著 日経プレミアシリーズ)は、「電気や半導体の産業科学が物理学であることが、凋落の本質的な理由ではないか」と論じた上で、「これからの日本が生きる道は化学にある」と論じている。半導体製造装置の中で日本が優位を保っているのは、液体材料を使う分野であるということと相通ずるものがある。標準化が困難で、ノウハウの蓄積に時間がかかり、複雑な暗黙知が求められる分野が日本の生きる道だ。

Vol.37(13/07/11) 「リコー×任天堂」が日本初のファブレスを生んだ

ファブレスメーカー・メガチップス創業者で会長の進藤晶弘氏にインタビューした。進藤氏は三菱電機に就職したが、希望の部署に配属されず、窓際、出向など辛酸をなめた後に、半導体内製化を目指したリコーに第1号の技術者として転職を果たした。社内からも社外からも受注できずに苦しんでいた時、家庭用ゲーム機を開発中の任天堂と運命の出会いを果たす。「日本初のファブレス誕生の陰に、実は、ファミコンがあった」という興味深い歴史物語。

Vol.36(13/06/27) 報奨金で揉めるぐらいのスーパー特許を!

政府は6月7日の閣議決定で、企業の技術者の職務発明について「出願時から企業が保有する」「帰属や対価について従業員と企業の事前の契約で決める」かのいずれかにするよう求めた。見直しの意図は、青色LEDの発明をめぐる日亜化学と中村修二氏の裁判のような事態を回避し、企業の経営リスクを軽減することだ。しかし、報奨金で揉めるくらいのスーパー特許が時々生み出される土壌がある方が、企業の競争力は間違いなく向上すると思うのだが…。

Vol.35(13/06/13) 4年半で3775万円の研究費を獲得

2003年10月に同志社大学に赴任したものの、私をスカウトした教授の研究室を破門され、大学の研究費を使うことを禁じられた。しかし、幸いにして私は外部資金の獲得能力が高く村田学術振興財団、NEDOなどから4年半で総額3775万円の研究費を獲得した。すると、私を波紋した教授が和解案を申し入れてきたり、論文の共著者にするようにすり寄ってくる教授がいた。恐ろしき、カネの力。もちろん、私は、どちらもお断り申し上げた。

Vol.34(13/05/30) もしオッテリーニが判断ミスをしなければ…

米オピニオン誌The Atlanticがインテルの5代目CEOを退任したポール・オッテリーニにインタビューした。それによると、オッテリーニは、アップルからの初代iPhone用のプロセッサの生産委託を断るという痛恨のミスジャッジをしていた。因みに、インテルの代わりに受託したのはサムスン。歴史に「もし」はないけれど、インテルがアップルの依頼を引き受けていたら…インテルは苦境にあえぐことはなく、逆にサムスンの躍進もなかったかもしれない。一つの判断がこれほど大きなインパクトを与えるとは!

Vol.33(13/05/19)  目的がないのに予算がつく国家プロジェクト

日本半導体産業の復権を目指した大規模な国家プロジェクト「あすか」。2000-05年の第一期に総予算840億円を投じ、さらに、第二期の2006年-10年に延長されたのだが…。二期目突入の一週間前に、プレスリリースの起案書を見せてもらい、パラパラとページをめくっていくと、なんと「目的」のページが空白!予算は下りたが、目的がない!?国家プロジェクトとは一体何なのか?

Vol.32(13/04/25) 利益率が低いままでは生き残れない

まともなDRAMメーカーの中で、ArF液浸露光装置の導入が最も早かったのはサムスン電子だった。その理由は、メモリーメーカーの中で、最も利益率が高く、豊富な投資資金があり、経営幹部の決断力が極めて早いからだ。かたや、日本半導体メーカーの利益率は悲しいほど低い。利益率が低いから、最先端投資ができず、微細化ができないという負のスパイラルに陥っている。利益率問題を解決できない限り、日本半導体が生き残ることは難しい。

Vol.31(13/04/11) 超個人主義・中国の半導体業界事情

世界の工場と呼ばれる中国だが、なぜか半導体の自給率は低い。その理由は、超・個人主義で家族と少数の親友しか信用しない中国人の気質が100人規模のチームワークが必要な半導体製造には向かないということなのかもしれない。その一方で、海外留学・就業経験者(リターニー)が起業した活力ある中国のファブレスが注目を集めている。協調が求められる製造と違い、「設計」は少人数のタレントで勝負できる分野。中国のファブレスから目が離せない。

Vol.30(13/03/28)  なぜニコンとキヤノンは敗北したのか

 1980~90年代の世界の露光装置市場はニコンとキヤノンの独壇場だった。ところが90年代半ばに出現した蘭ASMLが急成長し、現在は世界シェア80%を誇る。日本メーカーとASMLの最大の違いは「機差の大小」にある。単体の装置ごとのスループットは日本メーカーの方が優れていても、機差が一定のスペックに収まったASMLの装置を使えば工場全体のスループットはニコンやキヤノンよりも倍増する。ここに日本メーカー敗北の原因がある。

Vol.29(13/03/14) 水の分離圧を洗浄技術に活かせないか?

 水中でピッタリと合わせた2枚のガラスを引きはがそうとする時にかかる「分離圧」は、15℃、30℃、45℃、60℃と、なぜか15℃毎に大きなピークがある。人間は体温が30℃を切ると凍死の危険にさられるなど、4つの温度は生物の生死にも決定的な影響を与える。この不思議な温度を半導体の洗浄技術に活かし、洗浄温度をコントロールすれば、パーティクル除去率を飛躍的に向上できるのではないか?

Vol.028(13/02/28発行) メモリ分野こそ日本半導体の強み

 産総研で開発中のスピントルクトラストファー磁気メモリの量産が実現すれば…スマホやタブレットの消費電力を劇的に低減し、驚くほどに電池の保ちが良くなるはずだ。日本半導体はメモリ分野で強みを発揮してきた。新たな磁気メモリ開発のため、新メモリ・ファンドリーを創設すべきではないか?死に損ないの企業救済よりも、次世代の国富を生み出すことに重点を置いた政策を打ち出すべきだ。

Vol.027 (13/02/14発行)

 ソフトバンク関係者との会食で、日本のSOCメーカーの今後の行方について問われた。SOCで最も付加価値が高いのは最上流のシステム設計だが、日本のメーカーはこの部分は不得手だ。収益力もなく、飽きもせずに経営統合を繰り返しているが…このままでは日本のSOCは淘汰されるしかないだろう。もしも起死回生の挽回を狙うのであれば…かつてAppleが実施したM&Aが参考になる。

Vol.026 (2013/01/24発行)

 過日、モンゴルを訪問した知人から聞いた話。サムスンの社長がモンゴルの新しい金と銅の開発現場を視察、日本円で数十億円の資金協力を約束した見返りとして、採掘した金の一部を購入する権利を手にしたそうだ。
 日経新聞1月18日付のアジアIT企業の時価総額ランキングによれば、サムスンが圧倒的1位で、NEC、東芝、ソニー、バナソニックは10位圏外。日本が我が世の春を謳歌していた20年前とは隔世の感がある。はたして、今の日本の電機・半導体メーカーに社長自らモンゴルに交渉に乗り込もうという気概のある人物はいないのか?

Vol.025(2013/01/10発行)

 日経新聞12月30日付にアマゾンにIT化の波が押し寄せているという記事が掲載されていた。ブラジル奥地、生徒数20人の小学校に配備されたパソコンを使い、子どもたちが目を輝かせて勉強しているそうだ。
 年末に新潟県・長岡市で講演をした際に、クリス・アンダーソンの著書「MAKERS」を参考に中小企業がビジネスを拡大する方法を論じた。しかし、会場からはほとんど反応がなく、ぽかんとした表情ばかり。懇親会で名刺交換すると、webサイトも持たない会社が多いようだった。これほど通信環境が整っている日本で、なぜ、それを活用しようとしないのだろう?

Vol.024(2012/12/20発行)

 半導体製造の中でも「リソグラフィ」と「ドライエッチング」は天と地ほどの差がある。サイエンティフィックでエレガントなリソに対して、ドライエッチはシミュレーション不能で、ひたすら実験の世界。不良が発生すると、大抵はドライエッチングが疑われる。実験と不良対策に追われ、研究や論文に時間を割くことが難しいので、ドライエッチング業界には学位取得者が驚くほど少ないのだ。 とはいえ、ドライエッチングも悪いことばかりではない…。

Vol.023(2012/12/06発行)

 インテルの5代目CEOポール・オッテリーニ氏は、史上最大の難題を残したまま2013年5月に退任する。スマホの爆発的な普及で、インテルの基幹事業であるPC用プロセッサの売上高は鈍化し、今後、マイナス成長は避けられないだろう。どんなに頑張っても、低消費電力を売り物に急成長しているARM系プロセッサには簡単に追いつけそうにない。
 しかし、インテルの危機はスマホ普及よりも遥かに遡った2000年前後から潜在していたのだ。

Vol.022 (12/11/22発行) 転職は茨の道を歩むが如し?

エルピーダ、半導体先端テクノロジーズへの出向を経て、私は日立を退職した。しかし、転職先探しに苦労して退職金が積み増される希望退職制度は利用できず。転職先の半導体エネルギー研究所では社長を怒鳴りつけて半年で事実上のクビになった。次の転職の際には、工学博士の学位を持っていても、人材会社からは派遣やオペレーターの仕事しか紹介してもらえなかった。
今年、半導体・電機業界の大規模リストラで転職市場のタイト化は必至。転職する皆さんは、コネと運を最大限に活用すべだ。

Vol.21 (12/11/01発行) アルミニウムから銅配線への転換

半導体の配線材料には長らくアルミニウムが使われてきたが、微細化に対応する新材料への転換が必要となった。97年にIBMがドライエッチングとは異なるダマシン法で製造した銅配線プロセッサを出荷するとの報道があり、業界全体が雪崩を打って銅シフト。しかし、加工の過程で銅が腐食するなど問題続出で、実際にPCなどに搭載されるようになったのは99~00年頃だった。
今思えば、97年時点ではIBMも量産技術を確立していなかったのではないか。報道に踊らされ、業界全体が銅フィーバーに湧いた出来事だった。

Vol.020 (12/10/14発行) 落ち目のインテルが生き残るための秘策

インテルが不振にあえいでいる。スマホ、タブレットの爆発的ヒットに乗り遅れた上に、独壇場だったWindowsの牙城もARMに切り崩された。とはいえ、インテルには圧倒的なプロセス技術と製造能力がある。ファンドリーとして出直し、ARM陣営のプロセッサを受託生産すれば、早くて、電池長持ち、機能満載のプロセッサが完成するはず。消費者大歓迎だし、ARMとwin-winの関係を築ける秘策だと思うのだが、いかがだろうか?

Vol.019 (12/10/04発行) 官民連合は「白馬の騎士」か?

経営再建中のルネサスエレクトロニクスをめぐり米ファンドKKRと産業革新機構やトヨタ、パナソニックなどの官民連合が買収合戦を展開している。国内勢が名乗りを上げたのは「価値ある商品を安いまま」「不採算事業も耐えて続けてくれ」というご都合主義から。残念ながら「白馬の騎士」ではないのだ。

Vol.018 (12/09/20発行) 新メモリ開発のためのコンソーシアムを!

日本半導体の歴史を振り返ると、大きな成功を収めたのは80年代のDRAMと、現在孤軍奮闘中の東芝NANDフラッシュの2つ。日の丸半導体復活のためには、得意分野のメモリに集中するしかない。そのために、官民協力のコンソーシアを作り、新材料を心おきなく導入できるクリーンルームの整備を求めたい。

Vol.017 (12/09/06発行) アップルVSサムスンの訴訟で得したのは誰?

心の中では「サムスンがパクッている」と確信しているので、判決には興味はない。しかし、アップルがDRAMの調達先をサムスンからエルピーダやシャープに変更したのは干天の慈雨。日本企業は目の前のチャンスを抜け目なく掴んでほしい。FOI営業マンにまんまと装置開発に協力されられた話もたっぷり。

Vol.016 (12/08/16発行) 一生ソニー製品は使わないと誓った出来事

転職活動中、ソニーからPtエッチング技術者として熱烈なスカウトを受けた。面接官の高飛車な態度や、年俸が下がることが腑に落ちず、就職は断ったのだが…なぜか、内定通知を送りつけ、マンション管理人にまで転職話を漏らされた。これは、まだ「世界のソニー」として君臨していた頃のエピソード。

Vol.015 (12/08/02発行) 転職活動中にビジネスアイデアを盗まれた!

Ptエッチングに成功し、学会に名が知れ渡っても、会社は正当な評価をしてくれない。そこで、転職活動をスタートしたが、最初に接触してきた装置メーカーの常務との面接で話したアイデアをまんまと盗また!転職を断った数週間後、私が話した通りに外資系企業と提携を結んでいたことにビックリ…

Vol.014 (12/07/19発行)人生の転機となった怒濤の特許出願、論文執筆

上司の壁・技術の壁を克服して、難関のプラチナエッチングに成功した後、怒濤の勢いで特許を出願し、学会発表、論文発表を重ねた。技術者は勇気と覚悟を持って足跡を残さなければならない。製品に自分の名前が刻まれることはない。今思えば、あの時、論文を書いたことが、人生の転機になった。

Vol.013 (12/07/05発行)プラチナエッチングを邪魔した「上司の壁」

武蔵工場にはプラチナエッチング用の装置がなく、東京エレクトロンのデモセンターで試作することになった。移動時間わずか20-30分のデモセンター通いのために「出張稟議書」を毎日、提出しなければならいのだが、直属の上司が稟議書にハンコを押してくれない!技術の前に「上司の壁」が立ちはだかった。

臨時増刊号(12/06/22発行)ルネサスについての考察

ルネサスエレクトロニクスは、母体3社と主要取引銀行4行から総額1000億円の支援を受けることになった。しかし、それは一時的な延命措置に過ぎないのではないか。ルネサスに本当に必要なことは何か―考えてみた。

Vol.012 (12/06/21発行) 赤トレーナーが禍い?量産工場への不本意な異動

日立の中でも「エリート」と目される中央研究所に勤務していた湯之上だが…真っ赤なトレーナーで新任部長に挨拶に行ったことが不興を買ったのか、半導体量産工場に左遷された。そこで難度の高いプラチナエッチングに取り組むことになった。  

Vol.011 (12/06/07発行) エルピーダ出入り禁止、調査論文は幻に…

2回目の調査結果報告に対するエルピーダの反応は冷淡だった。しかも、広報担当の取締役Mの意向が働き、大成功を収めた初回の調査を論文にすることも、3回目の調査を行うことも拒否され、エルピーダ出入り禁止となった。「ゆでガエル」となっていたエルピーダは、倒産を回避するチャンスをいくつも逃し、ついに2012年2月、会社更生法を申請した。

Vol.010 (12/05/24発行) 追い出されたエルピーダ全社員の前で講演会

NEC組とのバトルの末に2001年3月にエルピーダを去った湯之上が、2004年3月、エルピーダ全社員を前にして講演を行った。技術者へのインタビューをもとに、日立組とNEC組が能力を尊重し、補完しあうことで合弁を成功させるべきだと説いた。果たして、湯之上の思いは社員に伝わったのか?
そして、その後、第2回目のエルピーダ調査を実施、三菱電機からの出向者がエルピーダの業績のV字回復にいかなる役割を果たしたか明らかにした。

Vol.009 (12/05/10発行) 湯之上がエルピーダ技術者にインタビューした

2004年1月、湯之上は経営学の研究者としてエルピーダの技術者12人にインタビューを行った。坂本幸雄社長の就任以降、設備投資が再開され、DRAM生産が軌道に乗り、業績はV字回復。技術者は自信を取り戻しつつあった。ところが、その一方で「エルピーダの技術力は低下している」という声が相次いだ。坂本社長は、その調査結果を、敢えて、全社員の前でプレゼンテーションするように湯之上に依頼した。

Vol.008 (12/04/19発行) 理系人間が42歳にして文系に転身!?

湯之上は日立から再三の退職勧告を受け、日本半導体エネルギー研究所に転職。しかし、その会社からも退職を申し渡され、2003年4月1日、失業者となった。ハローワーク?通いの悲哀と不安を味わった湯之上を救ったのは、仕事をしながら3年がかりで獲得した「工学博士」の学位と「人の縁」だった。
物心ついた時から理系一筋で生きてきた湯之上は、42歳にして、経営学の研究者としての一歩を踏み出した。研究対象は、もちろん、半導体業界!

Vol.007 (12/04/05発行) 半年以上かかった装置選定のトホホな顛末

広島の最新鋭工場に導入する12インチ用ドライエッチング装置の選定をめぐってエルピーダ社内は紛糾。現場レベルではもちろんのこと、部長・本部長レベルでも、役員クラスでも結論が出せない。鶴の一声を発したのは…。
エルピーダ破綻に関する考察を<再び長い前書き>として加筆。崖っぷちに追い詰められていたはずのエルピーダ社員たちの「極楽とんぼ」ぶりを振り返った。

Vol.006 (12/03/15発行) リーダー降格、窓際族の悲哀

ゲートエッチングの装置導入をめぐり、湯之上とNECのN氏の対立が一触即発の状態に。その後、N氏はエルピーダ出向となり、ドライエッチングのリーダーは湯之上からN氏に交代。湯之上は人生で初めて「窓際族」の悲哀を味わう。
エルピーダ破綻に関連して<かなり長い前書き>を加筆。収益体質の改善の取り組みが遅すぎたことがエルピーダを破綻に追い込んだことを改めて指摘するとともに、何がサムスンとエルピーダの明暗を分けたのか具体的な事例をあげて解説した。

Vol.005 (12/03/01発行) NEC組と日立組が戦争状態に突入

エルピーダ内部では、それぞれに「我こそは世界一」と思い込んでいた日立とNECが激しく対立、あらゆる技術部門で戦争状態となった。両社の強みを持ち寄り「良い所どり」をするなどほど遠い。ドライエッチング分野では、湯之上と、NECのN氏の間に対立の予兆が…。
2月27日にエルピーダが会社更生法を申請したことを受けて、通常のメルマガの冒頭部分に<<緊急前書き>>を加筆。「円高、震災、タイ洪水は破綻の引き金に過ぎない」とし、収益性を改善しないまま放置したことが最大の原因と分析した。

Vol.004 (12/02/16発行) 社内会議で社長にケンカをうる?

DRAMビジネスにおいてはシェアの確保が重要だ。しかし、エルピーダの新工場の建設計画は資金難で停滞、当初、利用する予定だった日立シンガポール工場での生産は突然、中止された。
湯之上は、社内会議の席上で、社長に「エルピーダの成功の定義は何なのか? 上場したら、全財産をはたいて株を買う覚悟があるのか?」と質問をぶつけた。

Vol.003 (12/02/02発行) NECと日立の「良い所どり」のはずが…

そもそも、なぜエルピーダは工数計算に基づかない無茶な開発計画をぶち上げたのか?生産技術に優れたNECと、要素技術に強い日立は、両社の長所を持ち寄った「良い所どり」の経営を目指すはずだったが…「我こそがナンバーワン」という双方のプライドがあちこちでぶつかり合い、シナジーを発揮するどころではなかった。

Vol.002(12/01/19発行)  出向2カ月目にして辞表を書く

エルピーダの最初のDRAM開発計画はどう考えても実現不可能なものだった。エッチングのリーダーである湯之上は部下の戦力分析と工数計算をしたところ、全ての担当者が24時間働いてもこなしきれないことが判明。湯之上は出向2カ月目にして最初の辞表を書いた。

Vol.001(12/01/05発行) プロローグ/実現不可能な開発会議

「日本半導体最後の砦」のはずだったエルピーダ。しかし、設立当初から日立組とNEC組は激しく対立、双方の主張に折り合いが付かず、0.13μmDRAMの開発で「日立タイプ」「NECタイプ」の2種類ができるというなんともお粗末なスタートを切った。設立初期の開発会議の生々しい模様を再現!

湯之上隆

1987年に京大原子核工学修士課程を卒業後、日立製作所、エルピーダメモリ、半導体先端テクノロジーズにて16年半、半導体の微細加工技術開発を推進。日立を退職後、長岡技術科学大学・客員教授を兼任しながら同志社大学の専任フェローとして、日本半導体産業が凋落した原因について研究した。現在は、微細加工研究所の所長としてコンサルタントを行いながら、2011年10月に設立した(株)エアジャッジの取締役CTOとして、子供とお母さん用放射線検出器(目標価格5000円)の開発に取り組む。工学博士。著書に『日本「半導体」敗戦』(光文社)。


湯之上隆のウェブサイト:http://homepage3.nifty.com/yunoman/

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